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10AzureRed Fluorescent Protein Stainは、ゲルやブロット用の定量的な全タンパク質染色で、ウェスタンブロットなどのダウンストリームタンパク質分析に適しています。AzureRedは、ゲルからメンブレンへの均一なタンパク質転写を確認するための転写後染色や、TPNプロトコルの一環としウェスタンブロットの染色などの染色アプリケーションに最適です。HeLaライセートのサンプルをポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、ゲルから低蛍光 PVDFメンブレン (Azure Biosystems; AC2105) にタンパク質を転写しました。タンパク質転写後、ブロットをAzureRed Fluorescent Protein Stain (Azure Biosystems; AC2124)で染色し、PVDF染色プロトコルに従って染色しました。転写後、ブロットを水で短時間洗浄し、プロトコルにしたがってAzureRed染色液で30分間の染色手順の後、ブロットを Azure Fluorescent Blot Blocking Buffer (Azure Biosystems; AC2190) を用いてブロッキングし、ウェスタンブロット検出用の一次抗体とインキュベートしました(Table 1)。このブロットをSapphire Biomolecular Imagerで4つのレーザーでブロットを同時にスキャンすることにより画像化した。3種類の標的たんぱく質についてはTable 1に示す波長のレーザーで検出し、AzureRedは520nmレーザーで検出しました。得られた画像はAzureSpotソフトウェアを用いて漢籍しました。最近ではハウスキーピングタンパク質に依存する欠点の多くを回避する代替正規化方法として、Total Protein Normalization (TPN)が一般的になってきています。この方法では、目的のタンパク質の量をレーンにロードされたタンパク質の総量と比較します。TPNは、単一のタンパク質を標準とする場合と比べて、サンプル間の標準タンパク質量の予期せぬ変化の影響を受けにくいなどの利点があります。1つのタンパク質の強度を見るのではなく、各レーンの合計密度を測定します。TPNテクノロジーはシグナルの正規化に関連する多くの問題を排除するため、出版物では正規化に総タンパク質シグナルを使用することが推奨されています。4標的タンパク質Tubulinβ-actinGAPDH1次抗体ラット抗 Tubulinラビット抗 β-actinチキン抗 GAPDH2次抗体ヤギ抗ラットIgヤギ抗ラビットIgヤギ抗チキンIg検出波長658nm488nm784nmApplication Noteはじめに定量ウェスタンブロッティングの重要な要素は、標的タンパク質から得られたバンド強度を、サンプル中の物質量に比例してのみ変化するはずの参照物質に対して正規化することです。従来は、「ハウスキーピングタンパク質」(異なる種類のサンプル間で一貫して発現していると考えられるタンパク質)がこのような基準として使用されてきました。しかし、場合によっては、ハウスキーピングタンパク質はサンプル間で一貫して発現していない可能性があり、実験条件によって、一般的に使用されているハウスキーピングタンパク質の発現が変化する可能性があることを示す研究も発表されています。1 また、ハウスキーピングタンパク質が、目的のタンパク質と十分に類似したレベルでサンプル中に存在せず、検出の線形範囲に収まらない場合もあります。2-3方法Table 1 標的タンパク質と使用抗体及び検出波長結果AzureRed Fluorescent Protein Stainで染色した3色ウェスタンブロットをSapphire Biomolecular Imagerでスキャンすると、4チャンネルの合成画像が得られます(Figure1)。4つのチャンネルをすべて画像化し、画像取得と同時に位置合わせを行うため、後から画像合わせをする必要がなく、ワークフローに画像処理のステップを追加することもありません。得られた4つの画像を重ね合わせた合成画像では、3つのタンパク質同士や総タンパク質量を簡単に比較することができます。シングルチャンネルイメージを見ることで、AzureRedと3つのタンパク質のダイナミックレンジを視覚的に確認することができます(Figure 2 A-D)。各レーンの総タンパク質と標的タンパク質のシグナル強度はAzureSpotソフトウェアを使用し量しました。Figure 2Eは各シグナル強度とロードされたタンパク質量との関係を示しています。AzureRed 染色の定量性は、ロードしたタンパク質量に対して優れた相関性(R2 = 0.994)を示しています。この相関は、ハウスキーピングタンパク質として頻繁に使用される3つのタンパク質のいずれよりも優れていました。タンパク質のシグナルを正規化するための基準として、総タンパク質のAzureRedシグナルを使用した場合をFigure 3に示しています。各レーンのTubulinシグナルを同じレーンの総タンパク質シグナルで正規化すると、正規化値のサンプル間での変動係数はわずか4%と優れた結果が得られました。AzureRed蛍光タンパク質染色によるウエスタンブロットにおける正確な正規化

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